最終更新:
大富豪なのに、途中まで誰が味方かわからない。そんな大富豪があると言われたら、ちょっと信じられないかもしれません。ところが北朝鮮には実際にそういうトランプゲームがあります。名前は「44A(ササキ)」といいます。
ササキという名前は人名ではありません。ゲーム中に登場する「4のカード2枚とAのカード1枚」でできる役を朝鮮語で読んだ音がササキになる、というのがその由来だと考えられています。ルールの土台は大富豪ですが、途中でチームの正体が判明する仕組みや、「ける」「さす」という独特の用語が組み込まれていて、遊んだ人の記憶に残る一本です。
book & board game shop “caravan” 店主の望月さんは、こうした世界各国のトランプゲームを翻訳して紹介しています。うそのたばこ店では毎月、望月さん主催の「世界のトランプゲーム会」を開催しており、44Aのような珍しいゲームも実際に卓を囲んで遊べます。

「44A(ササキ)」とはどんなトランプゲーム?
44Aは北朝鮮発祥とされるトランプゲームで、プレイ人数は4人専用です。ジョーカーと数字の2を抜いたトランプを使い、性格としては大富豪の出し方をベースにしたチーム戦カードゲームになります。
最大の特徴は、ゲーム開始時点では2人1組のチームが誰と誰なのか誰にもわからないという点です。ゲームが進む中である条件を満たしたプレイヤー2人が味方だと判明する仕組みで、正体隠匿の要素が大富豪に混ざっている珍しい形です。
大富豪で途中でチームが分かる形式のゲームがどのような流れで生まれたのか全く謎に包まれていますが、このゲームにしかない魅力があります
(出典: 望月さんのnote記事より)
準備
- ジョーカーと数字の2を全て抜きます。
- 残りのカードをよく混ぜて、4人全員に12枚ずつ配ります。
- チップとして各プレイヤーに20点ずつ配ります(同じ枚数であれば点数の刻み方は自由です)。
- 朝に遊ぶ場合は❤3を持っているプレイヤーが、夜に遊ぶ場合は♠3を持っているプレイヤーがスタートプレイヤーになります。
遊び方
基本の流れは日本の大富豪と同じです。最初にカードを出した人と同じ出し方で、より強いカードを出していきます。最初にカードを出し切ったチームが勝ちになります。
カードの強さは次の通りです(数字が大きいほど強い)。
- A(最強)
- K
- Q
- J
- 10
- 9
- 8
- 7
- 6
- 5
- 4
- 3(最弱)
基本の出し方は3種類あります。
- ワンカード:好きなカードを1枚出します。
- ツーカード:同じ数字のカードを2枚出します。
- ストレート:マークを問わない連番を3枚以上出します(AとBは繋がりません)。
誰かが出した出し方に対して、他のプレイヤーは同じ出し方でより強いカードを出すか、パスをします。全員がパスをしたら、最後にカードを出した人が最も強いカードを出した人としてカードを全て受け取り、次のリードプレイヤーになります。
44Aにはこれとは別に、基本の出し方を無視して出せる特殊な組み合わせがあります。弱い方から順に並べると次のようになります。
- トリプル:同じ数字3枚
- 44A(ササキ):4が2枚とAが1枚
- フォーカード:同じ数字4枚
- ぶた(テジ):♦10と♥10
- 黒ぶた(フクテジ):♠10と♣10

この特殊な組み合わせが出されたら、他のプレイヤーは同じ種類の組み合わせでより強い数字を出すか、リストの下にあるより強い組み合わせを出す必要があります。
もう一つ、44A独特の要素として「ける」と「さす」があります。
- ける:直前の出し方がワンカードのとき、その同じ数字のカードを2枚出すことで勝負を即座に終わらせ、自分が次のリードプレイヤーになれます。
- さす:誰かが「ける」をした直後に、残り1枚の同じ数字を出すことで、さらに勝負を終わらせて自分が次のリードプレイヤーになれます。
この「ける」「さす」があるおかげで、ワンカード1枚を出すだけの場面でも常に緊張感が漂います。ワンカードで場が終わったと思った瞬間に、けられ、さされる。そういう逆転が起こりうるのがこのゲームの面白さです。
チームはいつ、どうやって判明するのか
44Aでは、ゲーム中に♦10と♥10を出した2人がチームを組み、残りの2人がもう一方のチームになります。もし1人のプレイヤーが♦10と♥10の両方を持っていた場合は、そのプレイヤー1人対他の3人という1対3の対戦になります。
ゲーム開始時に自分がどのカードを持っているかを話すのは禁止です。そのため、実際に♦10か♥10が出されるまで、誰と誰が味方なのか誰にもわかりません。
例えばこうなります。ゲームが進み、あるプレイヤーが♥10を出したとします。その少し後に別のプレイヤーが♦10を出すと、この2人がチームだったと判明します。そこから先は、判明した2人が協力して残る2人を上位から追い落とす戦いに切り替わります。同じチームだと分かっていても、実は場の状況次第でお互いを潰し合うような手を出さざるを得ない場面もあり、これも44Aならではの駆け引きです。
ゲームは、カードを出し切ったプレイヤーが3人になり最後の1人が残るまで続けます。順位が決まったら得点計算に入ります。
得点と宣言のルール
得点のやり取りは、2vs2になった場合と1vs3になった場合で異なります。まず2vs2の場合は次の通りです。
- 1位と2位のチーム:各プレイヤーが相手チームから2点を得ます。
- 1位と3位のチーム:各プレイヤーが相手チームから1点を得ます。
- 1位と4位のチーム:得失点なし。
- 2位と3位のチーム:得失点なし。
- 2位と4位のチーム:各プレイヤーが相手チームに1点を渡します。
- 3位と4位のチーム:各プレイヤーが相手チームに2点を渡します。

1vs3の場合は次の通りです。
- 1人チームが1位の場合:相手チームから2点ずつもらいます。
- 1人チームが2位または3位の場合:得失点なし。
- 1人チームが4位の場合:相手チームの3人に1点ずつ渡します。

さらに44Aには、配られた手札の内容によって一発逆転を狙える「宣言」というルールもあります。
- 走る:手札が配られた直後にダイヤの10かハートの10を公開すると宣言できます。パートナーも対応するカードを出すことでチームが判明し、終了時の得失点が2倍になります。
- 止まれ:「走る」が宣言されたとき、敵チームが対抗して宣言できます。成立すると終了時の得失点が4倍になります。

宣言をすると得点の振れ幅が一気に大きくなるため、劣勢のチームが一発逆転を狙う手段にもなります。ただし宣言をした時点でチームが早々にバレてしまうので、序盤からかなり激しい駆け引きになります。
よくある質問
Q.44Aは4人以外の人数でも遊べますか?
note本文では4人専用のゲームとされており、人数を変えるルールについては触れられていません。3人や5人で遊ぶ場合の対応は原文に記載がないため不明です。
Q.「ける」や「さす」はいつでも使えますか?
「ける」は直前の出し方がワンカードのときに限られます。「さす」も、誰かが直前に「ける」をしたときにだけ使える割り込みのような動きです。
Q.チームが分かった後は協力しなくてもいいのですか?
望月さんのnote記事では、同じチームだと分かっていてもゲームの流れの中でつぶし合いになることがあると紹介されています。手札の状況によっては、味方同士でも譲れない場面が出てくるようです。
遊ぶトランプを探すなら

写真のトランプ: Bicycle Orange Playing Cards by US Playing Card Co(商品ページ)
44Aのような大富豪系のチーム戦ゲームは、数字の判別がしやすい定番のトランプで遊ぶと初めての人でも迷いにくくなります。うそのたばこ店では出典・参考: 本記事のルール紹介は、book & board game shop “caravan” 店主・望月さんのnote記事「北朝鮮の摩訶不思議なチーム戦大富豪「44A」(ササキ)」を出典とし、ご本人の許可を得て引用・参照しています。記事中の図解・写真も同記事から許可を得て転載しています。図解つきの原文もぜひあわせてお読みください。うそのたばこ店では毎月、望月さん主催の「世界のトランプゲーム会」を開催しています。
ぶたのしっぽのルールをトランプで解説|2〜6人で盛り上がる引き取りゲーム
セブンブリッジのルールと遊び方【2〜4人・7の得点に注目】
ソリティア(クロンダイク)のルールとやり方をわかりやすく解説